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UAE子宮動脈塞栓術相談窓口




子宮動脈塞栓術とは、どんな治療なの?
 
 歴史: フランスの Ravina医師(婦人科)らが 1990年頃に、子宮筋腫核出術や子宮全摘術が予定されている患者さんに対し、術中における出血量の減少を目的として子宮動脈塞栓術(以下UAE)を放射線科医に依頼し実施したところ、UAE後には筋腫による症状の改善や筋腫自体の縮小が見られることが発見されました(結果的に手術となったのは16人中の2名のみで、残りの14人はUAEのみで治ってしまいました)。 彼らはこの優れた発見および治療成績を有名な医学雑誌 Lancetに発表。 それにより世界的にもこの治療法が注目をあびるようになり、それ以降、欧米を中心に爆発的に普及しました。
日本国内では1997年頃より始められ、世界ではすでに 25万人以上、日本でも 4000人以上(推定)が UAEを受けていますが、現在もさらに増え続けています。

 この治療法は、局所麻酔下で、足の付け根の動脈からカテーテルという細い管を入れ、子宮動脈まで誘導してから塞栓物質を注入する方法で、筋腫を栄養している血管を中からふさいだら直ちにカテーテルは抜いてしまうので、おなかや子宮にはメスをいれず、翌日には普通に歩行できるという、からだに優しい画期的な治療法といえます。

 入院期間は3泊4日(最短の方で3日)です。退院後は、すぐに入浴もできます。治療後の社会復帰までに要する期間は、お仕事の内容や個人差によりますが、早ければ治療後一週間程度で済みます。

 

子宮動脈塞栓術の実際
 
 UAEはレントゲンの血管撮影室にて行います。足の付け根(鼠径部)に局所麻酔をして、5mmほどの皮膚切開を行います。その奥には太い血管(大腿動脈)が走っていますが、この血管に2mm足らずの細さの管(カテーテル)を挿入し、子宮筋腫に栄養を送っている血管(子宮動脈)まで進めていきます。ここから、血管を塞ぐ物質を注入して治療します。血管を塞ぐ物質は、1mm未満の血管塞栓用ビーズ(エンボスフィア)です。

 局所麻酔のもとで実施しますので患者さんには意識があります(手技中は流れている音楽を聴いていてください)。 子宮動脈は右と左に1本ずつありますがその両方を塞ぎます。子宮筋腫に血液が流れなくなれば終了です。治療にかかる時間は60分程度です。カテーテルを抜去し、挿入部位を10分間ほど圧迫して止血を確認後に包帯をします。病室に戻った後、一晩はベッド上で安静にしていただきます。翌朝、包帯をとり除き治療は終了です。

 

治療効果は?
 
 子宮筋腫による症状は、85~90%の患者さんで改善されます。 筋腫は、早い方でUAEの一ヶ月後位から縮小しはじめ、元の大きさ(体積)の60~30%ぐらいまで小さくなります。 筋腫の局在(できた場所)によっても異なりますが、粘膜下筋腫のほうがより小さくなりやすい傾向があります。

 本治療が奏功し、完全に塞栓され一度縮小した筋腫が再び大きくなることはありません。ただし、塞栓が不十分であった場合や卵巣動脈などから栄養をうけているときはその部分があとで増大してくる可能性はあります。また新しく生じてくる筋腫を予防するという効果までは報告されていません。

 子宮腺筋症に対する動脈塞栓術に関しては、現在一致した見解は得られておらず施設により意見が分かれています。UAEにより短期的には治療効果が期待できますが、その後は子宮筋腫の場合よりも成績が劣り症状の再発がみられることもあります。
なお超音波検査のみですと、しばしば子宮筋腫と誤った診断がなされているケースがありますので、やはりMRIにて鑑別された方が良いでしょう。

 

核出術や全摘出と比べた場合の利点は
 
・体に付く傷が小さい(足の付け根に数mm程度)

・開腹手術で起こりうる合併症(腸管損傷、術後の癒着、腹壁瘢痕ヘルニア、尿管損傷など)がない

・筋腫の数や部位に関わらず 全てに対して一度に治療可能である

・過去に手術を受けていても施行可能である

・輸血の必要がない

・外科的手術と比べ低侵襲なので、入院期間が短くてすむ

・妊娠・出産の可能性が残せる

 

副作用、合併症について
 
 ほぼすべての方で治療直後から下腹部痛が出現します(これが本治療法の一番大きな欠点です)。 強い痛みが翌日の午前中くらいまでありますので、当院では、麻酔科の専門医により硬膜外麻酔のチューブを入れ、治療開始前から鎮痛剤を投与し対応しています(これにより痛みは十分の一程度まで弱まります)。翌日以降、痛みは徐々に軽減し、通常の消炎・鎮痛剤の飲み薬のみでおさまります。

 治療後から数日間ほど、少量の出血(月経血と似た)がみられます。
術後数回までの生理は、期間や間隔が不安定になる場合がありますが多くの場合一過性です。
治療後1%程度で、感染が原因となり子宮全摘術が必要になることがあります。

 治療後に卵巣の働きが悪くなる(早期に閉経する)ことが数%あります。ただしそのほとんどは更年期が比較的近い45歳以上の方です。

 粘膜下筋腫の方では、微量の出血や帯下がしばらく続くことがあります。まれに膣のほうから上がってきた細菌により治療後の筋腫に感染を起こすことがありますが、その場合悪臭のある帯下が増加するなど子宮内膜炎と似た症状がみられます。

 粘膜下筋腫では、治療後に筋腫分娩をおこす方が5%前後にみられるとされています。これは粘膜下筋腫の一部がくずれたり変形したりして子宮内腔に落ちて子宮出口もしくは膣に挟まる状態です。筋腫片が小さければひっかかることなく排泄されるので問題ありませんが、脱落した筋腫組織が大きく子宮の出口(頚管)を塞いでしまった場合は陣痛様の強い下腹部痛を生じます。

その他には、稀に以下のようなものがあります。
穿刺部の出血、血管損傷、異所性塞栓、下肢静脈血栓~肺塞栓症、造影剤による副作用

 

子宮動脈塞栓術を対象となる方は
 
・35 ~ 50歳位

・年々生理が増えてきて貧血になり 鉄剤を飲んでいる

・筋腫があり経過をみましょうと言われていたが、急に増大してきて困っている

・過去におなかの手術歴があり 再度の開腹手術は避けたい

・仕事をしているので 長くは入院できない

・悪性ではないのに臓器を切除する治療には 抵抗を感じてしまう

・ホルモン療法を受けているが、副作用(更年期症状やうつ症状)が強く出てしまったり、骨粗鬆やリバウンド 現象などが心配でこれ以上続けられないという方

 

子宮動脈塞栓術を受けるのが難しい場合
 
・ヨード造影剤(※)に対して過敏症のある方
※ヨード造影剤とは、CT検査、血管撮影、尿路造影の際に使用される注射薬です。
以前に、ヨード造影剤の注射を受けて、副作用が出現したことがある方は必ず申し出てください。

・筋腫があってもそれによる症状のまったくない方や、すでに閉経後の方

・妊娠中の方、あるいは今後の妊娠・出産を考えている方

・癌の疑いがもたれている方、骨盤内にまだ治癒していない感染症のある方

・現在ホルモン療法中の方(ただし一定の休薬期間をおけば施行可能になります)

 

UAEをうけるまでのスケジュール
 
・電話にて検査予約をして まずは MRIを受けてください。

・検査終了後すぐに画像の結果を説明いたします。結果説明のために後日再び来院する無駄はありません。放射線科医ですので画像はかなりくわしくご説明できます。(すでに他施設で最近MRIを撮られた方は、その写真をご持参のうえで外来を予約し、受診してください)

・UAEが適応になる筋腫であることが確認できれば、同日さらにUAEの実際についても説明します。

・もしもUAE以外の治療法(腹腔鏡下手術、子宮鏡下手術など)がベストであると考えられるケースでは、その旨を正直に説明申し上げた上で、それぞれ熟練した施設への紹介もいたします。

・すぐに決断する必要はまったくありません。 UAEに関して、書籍(貸し出しもできます)やインターネットも活用し、ご自分でも納得がいくまでよく勉強なさってから決めてください。

・十分に納得されましたら、お電話にて入院予約を。

・2週間前位に婦人科の受診をお願いします。 (術前の検査のためで、癌と感染症の否定が主な目的です。遠方の方は当院婦人科でなくともOK)

・入院日は朝9:00までに放射線科外来にお越しください。午前中には、採血、心電図、超音波、レントゲンの4つの入院時検査を済ませていただき、入院当日の午後2:00すぎから UAE実施となります。

 

費用は
 
UAEは従来まで保険外診療の扱いであったために、その費用は全額自己負担となっていました(約40万円程度)。

しかし平成26年の3月より保険適応となり、他の治療法と同様に3割の自己負担(通常の方)で行えるようになりました。

ただし、その実施においては一定の術者および施設要件をクリアしていることが求められますので、希望する施設にご確認いただく方がベターです。

 

退院した後は・・・
 
退院時には、1週間分の痛み止めと感染防止の抗生物質を処方いたします。

退院1週間後に放射線科外来を受診していただき、採血と超音波検査を行います。それにて経過が順調であれば、内服薬は終了となります。次回は3ヵ月後に、MRI検査を行って治療効果・筋腫の縮小率などを確認しお伝えします。

子宮動脈塞栓術に関しての詳細は、当院放射線科部長 濱まで お問い合せください。

当院で2005年にUAEを受けられた女性のホームページ(ブログ)を見つけました。
よろしければご参考に。 子宮動脈塞栓術体験記
(アドレス : http://plaza.rakuten.co.jp/otutomemama/8000)

 

子宮動脈塞栓術とは、どんな治療なの?
 
40歳、主訴は過多月経およびそれによる貧血です。 80x60x70mmの筋層内筋腫が、UAE後には 58x50x54mm(体積で約40%)に縮小し症状も改善しました。
 
 
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子宮動脈塞栓術とは、どんな治療なの?

48歳、主訴は過多月経および貧血です 63x51x58mmの筋層内筋腫が、UAE後には 53x45x46mm(体積で約60%)に縮小。50x35x44mmの粘膜下筋腫は 30x21x25mm(体積で約20%)に縮小。ヘモグロビン値は 7から12.5mg/dlへと改善しました。 この治療にはたいへん満足していらっしゃいます。

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37歳、子宮後壁を主体に存在する子宮腺筋症の方で、主訴は月経困難症(きわめて強い生理痛)です。前医でホルモン療法を受けていましたが更年期様の症状やうつ症状がきつくて中断となっています。UAE後には生理が軽くなり喜ばれています。

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49歳、9cmの筋層内筋腫で、MRI検査後に他院にてFUS(収束超音波療法)により治療を受けられています。 しかし約1年後の画像でみますと、筋腫の辺縁部に残存・再発があり(矢印の部位)、 サイズの縮小・症状の改善は充分に得られていませんでした。 当院でのUAE後には、筋腫は体積比で約60%へと縮小し、その内部は完全に凝固壊死の状態になっています。 (提示はしていませんが)他に数個あった筋腫にも同様の治療効果が確認されています。




 

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